ニュイサンの絹のようになめらかで細やかなタンニン。
更に上質なシャンボール・ミュジニーはオーガンジーのようなふわっと感があります。
色付きがしっかりしていても、口当たりは淡雪のよう、でも奥行きがかなり深い。
ミシェルさんのワインはワインを知らない人にとっても、かなりよく知ってる人
にとっても、いづれにも自然に納得をさせられる素直で優しい味わいです。
その秘訣はと聞くと、やはり大真面目な顔で、
「情熱を持ってよく働くこと。
その仕事が大好きであること。
いつも働いていれば、ドンドン上に昇っていけるし、
経験と習慣が良いワインへと自然に導いてくれる。」
― 決して止まらないこと、それだけ。秘訣なんて本当はないですよ。
ミシェルさんの静かに微笑む表情はそういいたげでした。
ブルゴーニュからディジョンまで土壌は上下の断層に分かれており、
100mごとに地層も変る。
複雑な土地の相のうねりが、グロの味わいを守っていると語ってくれました。
「技術をコピーすることはできても、土地をコピーすることはできないから助かるよ。」
そういいながら、ミシェルさんは誰よりもワイン作りに新しい技術を
いち早く取り入れた先見の明の持ち主。
そして病気で引退したあの伝説のジャン・グロを1975年から支え
続けて、今日を築き上げた人一倍の苦労人です。
コンポストを導入し、ミルデューなどのカビが出れば、植物成分を散布し対処する。
もう減農薬や有機肥料に取り組んで25年にもなり、土壌の清浄化に腐心してきました。
「 グロは一日にして成らず 」
お父様とミシェルさんとのしっかりした結びつきが、父の名を辱めない、
今日なお輝き続けるドメーヌ・グロを成功させていることがはっきりと分かりました。
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