先日究極のチョコ職人、セバスチャン・ブロカールさんが
ヴェリタスを訪問されました。
初日は、フランス菓子の地元のケーキ屋さんや和菓子屋さんで
あれこれ食べ比べ。
桜餅やねりきりなど食しながら、
「基本的に和菓子はアズキが勝負なんですね。うーむ・・。」
香りがケーキなどほど大きく出ないので、その味わいの
シンプルさと素朴さにちょっと驚かれたようです。
洋菓子なら季節のフルーツでどんどん風味にバリエーションが出ますが、
なるほどアズキのバリエーションは振幅が非常に少ないので、
フランス人の彼には「よさと違いが分かりにくい。」
と素直に感じられたようです。
その後チョコレート職人さんのお話しになり、
有名な菓子職人さんの名前で出ているチョコレートもまた
水準が千差万別。
彼も色々食べ歩いて研究をしており、「名前ほど品質がよくないもの」
にもあたることもしばしばで、「コマーシャリゼイションですね。」
とちょっと苦笑いされていました。
「あたなのチョコを食べて、私は自分の式が間違っていることを知りました。
今まで食べたガナッシュやクリーム入りのチョコは、チョコ1 + ガナッシュ1 = 美味しさ 0.5
だったのですが、セバちゃんのは
チョコ1 + ガナッシュ1 = それぞれの美味しさ2 + 新しい美味しさ1 = 3
です。
今までのものは、食べると口の中でチョコがすぐ溶けてなくなり、
チョコの風味がなくなると、後は固めに練られたガナッシュが口に残ります。
すでにチョコレートの風味はとっくになくなっているのに
そのガナッシュはなかなか溶けないので噛み砕くことになります。
この時の舌触りが心地よくないのです。
食べたいチョコを食べてしまって、おいしくないガナッシュを
(辛い思いをして)最後まで食べねばならない。
これが私の知っているガナッシュやクリーム入りのチョコでした。
しかしあなたのチョコはまったく違いました。」
セバちゃんは大変興味深げなまなざしで、解説をしてくれました。
「ありがとうございます。実はそれには訳があるのです。
もちろん外のチョコも中のクリームなども最もよいと私が思ったもののみ
を使うのですが、その二つをひとつにしようとする時、
一工夫しなければ私のチョコの風味は出ないのです。
外をコーティングするチョコは普通の職人さんのものより練りの強いものにします。
反対に中のガナッシュやクリームは普通より柔らかくゆるいものを作ります。
外の固めのチョコにしっかりガードされて、柔らかなガナッシュや
クリームが、食べるとまず最初に溶け出します。
そのクリームの風味が十分口の中に行き渡るころ、外側のチョコが
叙々に溶けて、クリームの風味と一体になるのです。
余韻にフルーツなどのフレーヴァーをわずかに含んだチョコのアロマが残り、
段階的に何種類かの異なる味わいを楽しむことができます。
最終、私のチョコは、食べると次のような順番で風味が変ります。
クリーム → クリーム+チョコ → チョコ+クリーム → チョコ
の順番にアロマが輪唱するように設計してあるのです。」
オオオオ〜〜〜〜ッ!!
なんとなんと、若き天才、セバちゃん、なんという理論派!
美味しいものを作る人とはなんと賢いのでしょうか。
これから、セバちゃんのことは、「偉大なるチョコ設計師」
とでも呼ぶべきか。
いやいや、あっぱっれ!!
バレンタインにあげるなんて、もうしてられません!
このチョコこそ、ご自分でお召し上がりになるべき絶品です!!
なぜかバレンタインなのに男性ファン急増の美味しさは、
女性もお見逃しなく!!
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