ヴェリタス〜輸入直販ワイン専門店


その44


ボトルを開けてワインを飲み残し、そのまま放って置くと、 酸化していくことはもうどなたもご存知の事と思います。

開けてからワインは空気との接触によって酸化が始まり、 その酸化作用によって香りと味わいが開いてきます

酸化作用による香りと味わいの開花 → 酸化作用による香りと味わいの成長 → → 酸化作用による風味の劣化 → 酸化作用による味わいの消失

そして、この過程が、ボトルの個体差によって短時間で起こるものと 何日もかけてゆっくり起きるものとがあります。

8月12日号のメルマガのご挨拶で、私が6月23日に フランスで1958年のラトゥールを開けて、その飲み残しを その後、私はこの58年のボトルをリュックサックに詰め込んで、 ボルドー → パリ → ヘルシンキ → 大阪の自宅 まで、揺らしながら持ち戻り、その後、常温でストックルームに 放置すること、30日。 7月23日ごろ、ボトルの存在を思い出し、どうなっているか、 恐る恐る飲んで見ました。

その時、 オ!意外と果実の風味がまだまだ残っています。 口当たりは、まずまずなめらかさもあります。 噛み噛みするとうまみすら感じられました。

後口にやや苦味と胡桃の香りが出てきていて、ゆっくりと落ちて いるようですが、複雑な香りはまだまだ生きており、 ラトゥールは健在なり。

生まれてからほぼ半世紀、生命力の強さに驚かされる一本でした。

と書いたのですが、その後、そのラトゥールは我が家の真っ暗な ストックルームに放置されることに・・・。 あくまでも飲み残しを取り置きし続ける私でした。 その日から瞬く間に10月9日(日)を迎え、仕舞い込んだ こともすっかり忘れきっていたその夜。



夕食にハンバーグを作りまして、ジュ〜ジュ〜焼けて バターと肉汁の芳しい香りに酔いしれながら、 「おっと、特性ソースを作らなくっちゃ」

と思いつつ、料理用の赤ワインを探したところ、「ない!」 あちこちストックを見たのですが、とにかく一滴も「ない!」

探し出したのが、その日で抜栓後3ヶ月と17日経った58ラトゥール。 私は恐る恐るこのボトルをISOグラスに傾け全部で40ミリほど 残っていたラトゥールの香りをかぎました。

ポートワインに近い香りになっていましたが、例の「臨終香」が 殆どありません。 というか、7月23日に感じた胡桃のような香りが感じられないといいますか。

グラスで感じる事がなくても、口に含んで吐いた後、戻り香で がっと返って来ることも多いので、飲んでみました。

「・・・・・・・。」

おかしい、あるべきはずの臨終香が戻ってこない。 恐ろしいことに、58ラトゥールはまだ劣化しきっていなかったのです。

こんなことあっていいものかどうか、もはや私には理解不能。 しかし、おしゃかになっていなかった事だけは確かで、 まだストラクチャーが感じられる状態でした。

あな恐ろしや、シャトーラトゥール58。 こんなシブトイ名門古酒でハンバーグソースなんて 作っちゃったらどうなるのでしょう。


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