前回、オーブリオンよりも珍品、幻の格付けワインを偶然にも
ペサック・レオニャンの大試飲会で見つけたのでしたが、
その名は「シャトー・クーアン」
あ、知ってる知ってる、ヴェリタスでも買えるよね、それ。
あの世界ソムリエコンクールで優勝した田崎真也さんが、
ぺサック・レオニャン部門で第二位にセレクトしたグランヴァンでしょ。
はい、それはクーアンに違いありませんが、実はこのクーアンは
畑が二つに分かれているのです。
全体の一部(6ha)をあの名門リュルトン家のアンドレ・リュルトン氏
が所有しており、残り24ヘクタールをなんと「INRA」
フランス国立農学研究所が所有してしまっているのです。
そのせいで、このINRA側のクーアンは世に出る事がありませんでした。(今もです)
クーアン・リュルトンが大変よい評価をもらっているからには、
その大部分を所有するINRAのクーアンは、それ以上に
おいしいのでは、とワインファンなら誰でも期待に胸が
膨らむところです。
偶然にも5年前、私はINRAの作った赤のクーアンを
試飲して、その素晴らしさに舌を巻いたのですが、
その時からINRA製クーアン白に対して、
「いつか飲んでやるぞ!」と執念を燃やして参りました。
そして、5年経ち、ようやく巡ってきたこの大好機、
見逃す手はありません。
どんなかな、どんなかな、ワーッどきどきしてきたなぁ、どれどれ・・・。
一口お口に含みますと、うわ〜っ、なんてきれいな酸味なの!
エレガントの極みってこれの事だわ、でも幅もかなりあって、
2004年もいいけど、2003年はまたふっくらして飲みやす〜い。
柑橘類とりんご系の果実のエキスがキュッと詰まって、
爽やかですが、ミネラル分もたっぷりで、威風堂々、
女王のような気品と豊かさに溢れていました。
クーアンリュルトンはソーヴィニョン・ブラン100%の
長熟に耐える清水のような美しい白ですが、
こちらはまた、15%ほどセミヨンが混ざり、滑らかな肌触りが
より官能的なのです。
ムムム、いずれアヤメかカキツバタ、甲乙つけ難いが、
手に入らない分、ありがたみが染みる味わいです。
う、うまい、うますぎる。
さて、また私はINRAに頼み込んでこの尊顔を
カメラに納めました。
ああ、この銘酒が世に出ないとは、INRAが恨めしい・・・。
そんな事で、ここのワインがいつか世に出るまで、まずは、
「グラーヴの白が好みの方は、入手困難な、完璧な出来の、
このワインを探してみることだ。」
という、パーカーさんも絶賛のリュルトンさんのクーアンをば、
まずは地ならしされる事をぜひお薦めいたします。
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