・酸味が恐ろしいくらいあり、 まだまだへたる気配なく元気
・熟成の香がちゃんとある
こんな時は、恐れるに足りず、ただ待つだけで大抵おいしくなります。
朝11時に開けたので、こんな調子では、これは夜10時くらい待てば、
そこそこうまみと香とまろやかさがグッ〜〜〜ッと出てきて、
素晴らしい姿を見せるはずです。
そしてパニエに寝かして、中間の夕方5時、
グラスに注いで一度味見してみますと、
「うまっ!酸っぱさもまだまだ元気、でもうまっ!」
と11時に予想したとおり、少しづつまるみと、 果実味と熟成香が混ざり、
うまみを前に押し出しつつ、美しく変身をしようとしていました。
82ムルソーは豊穣の年、ブドウがうまく熟したので、
開けてもすぐ素直なうまみが楽しめましたが、84は熟し方が
複雑であったと見え、なかなか根性曲がりというか、気難しい性格です。
ノンフィルターの古酒は色もくぐもり、見た目も、透明なワインの外観に慣れた人には
かなり抵抗があります。
一、最初のキャップシールを開けた瞬間から、カビでドギモを抜かれ、
ニ、次は渋さと酸味のハンマーパンチを見舞われ、
三、色をつくづく眺めて、「これは腐敗しているのか?」不安がいっぱい。
四、そして、開く姿を知らないまま、こんなワインダメだ。
と捨ててしまう事になると、古酒本来の姿を発見する幸せとは縁遠くなります。
古酒とは誠にやっかいな、覚悟のいる気難しいワインです。
そしてまた、一、ニ、三、四の大ハードルを越える勇気、忍耐、
知識と経験を積む必要性がある競技であり、この手強さこそが
古酒の醍醐味ともいえるのかも知れません。
追伸:84ムルソーは、12月25日11:00から12月27日11:00の48時間で
うま味と香りがしっかり出ました。しぶとさに驚愕のワインでした。
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