1996年6月29日 ヒラリー夫人の午餐会ワイン
シャンパン : マム 94コルドン・ルージュ
白ワイン : 95サンベラン (ジョルジュ・デュ・ブッフ)
赤ワイン : 94フルーリー (ジョルジュ・デュ・ブッフ)
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1996年6月27日 クリントン元大統領の午餐会ワイン
シャンパン : マム 88コルドン・ルージュ
白ワイン : 94プイィ・フュイッセ (ジョルジュ・デュ・ブッフ)
赤ワイン : 91ムーラン・ナヴァン (ジョルジュ・デュ・ブッフ)
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・・・・・・・。
これを選んだのって、もちろん接待する側だよね。
ポール・ボキューズさんじゃないよね。
ここのソムリエさん?
いや、VIPの晩餐会だからエリゼの侍従長さんかも?
とはいえ、最終OK出した人って、シラクさん?
このワインの内容をどう解釈してよいものやら。
私はお化粧室に入る前にすっかり悩んでしまいました。
1 どうせアメリカ人だから、ワインのことなんて分かりっこないよ。とエリゼが判断して、初心者向きのワインを選んだ。
2 アメリカでもぜひとももっと販売を伸ばしたいというデュ・ブッフ氏の
周到な根回しがあった。
3 どんなワインが好きか事前にエリゼのブレーンが調べたら、
実は本当にデュ・ブッフの大ファンだった。
1番なら、フランス政府のアメリカに対する率直な感情が伝わってきます。
さしずめ「成金め」とういうようなニュアンスでしょうか。
2番なら、世間ではよくあること、デュ・ブッフ氏はハンサムなだけでなく、
やはりたいした商売人と言えるでしょう。
3番なら、しゃれにならないほどワイン音痴だということで、
エリゼでは腹を抱えて定めし大笑いしたことでしょう。
そういえば、ふいに今思い出してしまったのですが、
昨年11月、ブッシュ大統領がバッキンガムの晩餐会に招かれた時、
エリザベス女王側が用意したワインも大変ウイットに
富んだものでした。
その日用意されたメニューの一部は、
95 ヴーヴ・クリコ ゴールド・ラベル
96 ピュリニー・モンラッシェ
85 グリュオー・ラローズ
ここでブッシュ大統領は国家元首であって、当然用意されるべきは
ヴーヴ・クリコ社の特上『ラ・グラン・ダーム』であって然るべし、
それがなぜかその下のヴィンテージシャンパーニュが
エントリーされています。
白ワインも表向きはピュリニー・モンラッシェと銘打っている
だけで、ブルゴーニュでは大変有名な究極のネゴシアンワインです。
メインの赤ワインには、85 グリュオー・ラローズ。
グリュオー・ラローズは大変質も高く人気のあるワインですが、
ここにもやはりしかけが張り巡らされておりまして、
グリュオーはサンジュリアン村の2級。
ポイヤック、マルゴー、グラーヴをはずすと、
サンジュリアンとサンテステフには一級ワインが存在しません。
最初から、一級ワインを遇する意思はない、という暗喩です。
85年は優良年度で、Pちゃんも90点を付けています。
世界一金持ちの国家元首を迎える、世界一お金持ちのイギリス王室の
メインの赤ワインが
2級格付け、85年、90点。
英国はアメリカに対し、イラク戦開戦より同盟し続けて
いるというものの、イギリスの表向きの政策表明とは
まったく裏腹に、バッキンガムの感情は、これらエントリーワインに
鮮明に打ち出されているのです。
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