この記事では工業用内視鏡の選び方とおすすめ製品をご紹介します。工業用内視鏡は、ファイバースコープなどとも呼ばれ、直接目視することができない配管内や、壁や天井の裏側、エンジンルームの内部などを見ることができる装置です。
工業用内視鏡には、数千円程度で買えるものから、数十万円以上もする高価なものまで様々なタイプの製品があります。自分の用途に合ったものを選ぶことが肝心ですが、扱っているメーカーも多く、どれを選べば良いのか迷いやすい製品といえます。
対象物を壊すことなく検査できる非破壊検査には非常に有効な製品ですから、工業用内視鏡の製品選びに迷ったら、この記事を是非参考にしてください。
目次この記事でおすすめする商品
工業用内視鏡とは
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内視鏡というと医療用の内視鏡を思い浮かべる方も多いのではないかと思いますが、工業用内視鏡といった場合、一般的にはカメラ部分と本体を光ファイバーで繋いだファイバースコープのことを指します。医療器具では内視鏡よりも胃カメラに近いものです。
本体には液晶モニターが搭載されていて、カメラからの映像を確認できる他、外部モニタやパソコン、スマホなどの画面に映像を映せるタイプのものもあります。
用途としては、人が直接目視することができない狭い場所、奥まった場所を見ることに使われます。配管内部などが典型的なもので、配管設備を外したり壊したりしなくても内部の確認ができるので、非破壊検査に非常に役に立つ装置です。
工業用内視鏡の選び方
ここからは、工業用内視鏡の選び方についてご説明します。自分の用途に合った製品を選ぶための参考にしてください。
チューブ・カメラの太さ(直径)で選ぶ
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まずチェックすべきは、チューブ(ケーブルと呼ぶメーカーもあります)やカメラの太さです。特に配管内の汚れや破損を調査したいときは、細身のものでなければ、そもそも奥までカメラを入れることができません。
製品によってはチューブとカメラ(レンズ)部分の直径が異なることがあるので、この場合は双方をチェックするようにしてください。
チューブの長さで選ぶ
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チューブの長さもポイントになります。もちろんチューブが長いものの方が奥の方まで調査することができますが、工業用内視鏡の中には有効長が指定されているものもあります。
延長用のチューブが別売りされているケースも多く、後で買い足すこともできますが、この場合も有効長の範囲の長さのケーブルを使うようにしてください。
防水性能の高さで選ぶ
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放水性能の高さも製品選びのポイントです。工業用内視鏡は、配管の内部に挿入したりする場合も多く、特にチューブやカメラ部は水に濡れる可能性が高くなります。できるだけ防水性能が高いものを選んでおくと様々な場面で故障を心配することなく使えます。
防水性能はIP規格に則って表記されることが多く、最初の数字は防塵性能、2つ目の数字が防水性能を示しています。防塵性能は6で完全な防塵性能、防水性能は8で水中でも使用可となります。工業用内視鏡に多いIP67の場合、規定の水深・時間内であれば水に浸けても故障しない程度の性能があることになります。
なお、本体部分については防水でない場合も多く、防水性能を備えている場合でもケーブルやカメラ部ほどではない場合が多いので、本体に水がかかる可能性がある環境で使う場合には、本体の防水性能は別にチェックが必要です。
LEDの明るさで選ぶ
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工業内視鏡で見る場所は、光が差し込まない奥まった場所が多いので、多くの製品のカメラ部にはLEDライトが搭載されています。
光量自体はスペック表などには載っていない場合が多いので、製品間の比較は難しい面がありますが、口コミやレビューの評価などを参考にして、できるだけ明るく照らしてくれる製品を選びましょう。
もっとも、LEDが明るすぎて、配管の内部などで反射して見にくいというケースもあります。こういった場合を想定するなら、光量の調節ができる機能が付いた製品を選ぶのがおすすめです。
画像の解像度で選ぶ
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見やすい工業用内視鏡を選ぶという点からは、画像度解像度も重要です。640×480で約30万画素となり、この程度の解像度の製品が多くなります。
もっとも、工業用内視鏡に装備されている2.4インチから3.5インチ程度の画面で見る場合、解像度が上がっても実際にはそれほど違いを感じられない場合も多いので、解像度を過度に気にする必要はありません。
製品選びの際には、確かに解像度もポイントの一つですが、他の要素と兼ね合いで選ぶことが重要になります。
工業用内視鏡のおすすめ人気ランキング10選
ここからは工業用内視鏡のおすすめ製品をご紹介します。以下では、基本的に記事を書いた時点での実勢価格が安いものから順にご紹介しています。
工業内視鏡は、かなり価格差の大きな製品なので、必要以上に高スペックのものを買い求めるのではなく、自分の用途に合ったものを探すことが無駄にコストをかけないためには重要です。
1位 エフケイシステム ファイバースコープカメラ
チューブ長:0.98m
解像度:640×480
防塵防水性能:IP67(レンズ及びチューブ部のみ)
低価格の工業用内視鏡
低価格の工業用内視鏡です。液晶のコントラストが8段階に調節可能であったり、LEDの明るさが6段階で調節できたりと、価格の割りに高性能の製品です。
もっとも、カメラ・チューブは直径9mmとやや太めで、細い配管の内部を検査したいといった用途には不向きです。また、付属のビデオケーブルで外部モニターに接続することはできるものの、本体には画像・映像を記録する機能がありません。
同メーカーのGL8822や8803ALには動画・静止画の保存機能がありますから、記録を残す必要がある場合は、これらの機種をおすすめします。コストの面を考えれば、用途によっては十分な性能を持った製品です。
2位 SHEKAR 多機能内視鏡
チューブ長:3m
解像度:ビデオ録画解像度 240×320、480×640、1280×720 撮影解像度 40×480、1600×1200、2048×1536×480、
防塵防水性能:IP67
同程度の価格帯の製品には珍しい5.5mmのカメラヘッド
この記事で紹介している製品をご覧になっていただいても分かると思うのですが、工業用内視鏡はチューブやカメラ部が細くなると、価格が上がる傾向にあります。この点、この製品は、この価格帯の製品としては珍しい5.5mmの細いチューブ・カメラを採用しています。
また、録画機能もあり、4倍のデジタルズームの機能も搭載しています。カメラの先端部だけでなく本体の前面にもLEDライトが装備されていて、暗所での作業に便利なのも他の製品にはない長所です。
充実した機能の割りに低価格なので、かなりコストパフォーマンスに優れた製品といえます。
3位 アストロプロダクツ APファイバースコープ
チューブ長:1m
解像度:640×480
防塵防水性能:チューブ及びカメラ部防水
3つのアタッチメントが付属
こちらも低価格帯の工業用内視鏡です。ケーブルの太さや液晶画面の大きさ、画像の記録装置がない点などは、上でご紹介した製品同様です。
ただ、口コミの評価を見ると「値段の割りにしっかりした作り」というコメントが目立ちます。低価格でもユーザー満足度は高い製品といえそうです。
付属品として、ミラーアタッチメント、フックアタッチメント、マグネットアタッチメントが付くので、作業内容に合わせて便利に使えるのもポイントです。
4位 ケンコートキナー LEDライト付き防水スネイクカメラ
チューブ長:1m
解像度:640×480
防塵防水性能:防塵防水性能:IP67(チューブ及びレンズ)、IP64(本体 チューブを接続した状態での数値)
光学製品の専門メーカーの工業用内視鏡
ケンコートキナーは、工業用フィルターや双眼鏡、天体望遠鏡などの光学機器を扱う専門メーカーです。仕様の記載にF値が記載されている点などから、光学機器メーカーならではのこだわりが感じられます。
本体にも軽い飛沫がかかる程度では故障しない防水性能があるので、安心して使用できる製品でもあります。この製品の特徴の一つは、別売りのオプションパーツが豊富なことがあり、径や長さが違うケーブルと交換できたり、先端可動式のケーブルと交換できたりします。
また、管内検査用の20メートルのチューブ、スパイラルケーブル、ガイドホイールのセットも販売されていて、これを購入すれば長い配管の検査にも使えます。この製品の購入を検討する際には、オプションパーツも合わせてチェックされることをおすすめします。
5位 DreamMaker ファイバースコープ
チューブ長:0.95m
解像度:640×480
防塵防水性能:カメラ・ケーブル防水
3mの延長ケーブルがセットになった商品
延長ケーブルがセットになった商品です。少し価格が高めにも思えますが、後からケーブルを買い足す場合と比較すると、特に割高な製品ではありません。
注意点として、延長ケーブルとの接続部分は防水性が生活防水レベルしかないので、延長ケーブル使用時には接続部を防水テープで巻くなどして保護する必要があります。
その他の特徴として、この製品には大きめの3.5インチの液晶パネルが搭載されています。口コミでは画像が鮮明で見やすいという声があります。また、ミニUSBケーブルとビデオケーブルが付属していて、外部モニターで映像を見ることも可能です。
6位 K’sWave ファイバースコープカメラ
チューブ長:1m
解像度:640×480
防塵防水性能:IP67(カメラヘッド)
モニターが外せて、自由な姿勢で検査・撮影ができる
この製品には、モニターが本体から外せるという珍しい機能が付いています。モニターと本体の接続は有線で行うので限界はありますが、モニターは見やすい位置に置いたまま、本体を持った手を伸ばしたり曲げたりが自由にできます。使用時の姿勢が自由になる製品です。
モニターを腕に装着するアームバンドも付属します。また、先端の角度が左右110度ずつ動かすことができ、カメラの傾きも左右170度の範囲で調節できるので、見たい位置にカメラを動かす操作がやりやすいのもこの製品の長所です。
別売りではありますが、3mの延長ファイバー、20mの超ロング防水ファイバーも接続することができ、様々な用途に使える製品です。
7位 サンコー 液晶付内視鏡ファインスコープ
チューブ長:3m
解像度:640×480
防塵防水性能:IP67(ケーブル部)
3.9mmの細径で、3mの長さがあるチューブが付属
3.9mmのかなり細いチューブの内視鏡です。細径の工業内視鏡はかなり高価なものも多いので、その中では比較的安価なモデルです。液晶は大き目の3.5インチで見やすく、デジタルズームは5倍まで可能なので、小さな傷などを確認したい場合も便利です。
チューブについては、径については5.5mm、長さについては1mのものもありますから、計4タイプから選べます。アタッチメントは3種類で、フックアタッチメント磁石アタッチメント以外に、チューブの側面の方が見られる側視鏡アタッチメントも付属します。
細い配管の内部を観察するのに適した製品です。
8位 松電舎 細径工業用内視鏡
チューブ長:1m
解像度:320×240
防塵防水性能:IP67(ケーブル)、IP55(本体)
4mmの細径のインターロックケーブルを採用
4mmの細径のケーブルを採用した製品です。ケーブルはインターロックケーブルで、曲げるとその形を保持することができるタイプですから、狙った方向にカメラを向けやすくなっています。
用途に合わせて選べるケーブルが各種取り揃えられていて、先端可動式のものや、直方と側方に見る角度がスイッチで変更できる先端切替式のものなどがあります。
かなり高価なのが難点ですが、本体もIP55の防塵防水仕様で、ケーブルはガソリン等の油が付着しても大丈夫な耐油仕様になっているなど、様々な環境で使用することができる本格的な工業用内視鏡です。
9位 3R Φ5.5mm先端可動式工業用内視鏡
チューブ長:1m
解像度:320×240
防塵防水性能:IP67(ケーブル)
先端可動式で入り組んだ場所にも挿入しやすい製品
この製品は、先端部分が可動します。先端の向きが変えられるので、例えば配管の内部に挿入した後、横にカメラを向けて配管の側面の映像を正面から捉えたり、L字に曲がった配管にもケーブルを奥までスムーズに挿入しやすかったりします。
しかも、可動範囲が320度とかなり広いので、小さな穴から挿入して先端部を内側に曲げれば、ケーブルを挿入した穴の内側を見ることさえできます。
5.5mmの細径の工業用内視鏡としては価格も抑え目で、様々な検査・調査で大いに役立つこと間違いなしの製品です。
10位 3R Φ2.8mm先端可動式工業用内視鏡
チューブ長:1m
解像度:640×480
防塵防水性能:IP67(ケーブル)、IP54(本体)
極細径2.8mgで先端可動式
今回ご紹介する中では最も細い2.8mmのカメラ径の製品です。細径ながら視野角は90度あり、一度に広い範囲が確認できます。また、先端可動式を採用しているので、細いパイプの中でも周囲をしっかり見ることができます。
この製品は、極細径の工業内視鏡でかなり高額な製品ですから、個人で使用するようなものではありません。企業でも簡単には導入することはできないかと思いますが、ほんの小さな隙間があれば、そこからケーブルを差し込んで点検作業ができるので、対象を分解したりして点検作業を行うよりは結果的にはコストをかけずに済みます。
エフケイシステム ファイバースコ…… 4,488円 SHEKAR 多機能内視鏡 9,299円 アストロプロダクツ APファイバー…… 10,450円 ケンコートキナー LEDライト付き防…… 18,129円 DreamMaker ファイバースコープ 22,000円 K’sWave ファイバースコープカメラ 19,580円 サンコー 液晶付内視鏡ファインス…… 47,405円 φ4.0mm ファイバースコープ 1mタイ…… 100,980円 3R Φ5.5mm先端可動式工業用内視鏡 139,800円 スリーアール 極細フレキシブルス…… 1,060,374円おすすめの商品一覧
製品 最安値 評価 リンク 4.41 3.9 3.81 2.95
まとめ
工業用内視鏡の選び方とおすすめの製品をご紹介しました。工業用内視鏡があれば、目視することが困難な場所でも検査ができますし、取り外さなければ見ることができない配管の内部も解体することなくチェックできます。
機械類の保守点検に使えば、手間も時間も節約することができて、コストダウンも期待できます。この記事を読んで工業用内視鏡の利点を実感された方は、ぜひ導入をご検討下さい。