おせちの定番料理の意味・いわれ

おせちは、古くから日本に伝わる大切な風習のひとつ。ひとつひとつの料理には、健康や長寿、子孫繁栄、五穀豊穣など、さまざまな願いが込められています。新しい1年の始まりにこそ、そんな縁起をかついだお料理を丁寧に味わってみたいもの。ここでは、おせちの由来と、定番料理それぞれの意味や願いについてご紹介します。
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「おせち」はもともと「御節供(おせちく)」という宮中行事に由来します。季節の節目に神様へ供えるお料理のことを指し、そのなかでも特にお正月のお料理が広く定着したことで、現在では「おせち=正月料理」として親しまれるようになりました。
重箱に詰めるのは「めでたさを重ねる」という意味が込められているから。家族の健康やしあわせを願う気持ちが、一品一品に丁寧に込められているのです。
おせち料理に込められた意味


ここからは、おせち料理のなかでも特に親しまれている定番料理について、その由来と込められた意味をご紹介します。
数の子:子孫繁栄を願って
数の子は、ニシンの卵。ニシンを「カド」と呼ぶことから、「カドの子」→「カドコ」→「カズノコ」と呼ばれるようになったといわれています。たくさんの卵が詰まっていることから、子宝に恵まれますようにという願いが込められ、子孫繁栄の象徴としておせち料理に欠かせない存在となりました。
黒豆:健康に、まめに働く一年を
「まめに働く」「まめに暮らす」といった言葉の「まめ」から、黒豆には「健康で勤勉に過ごせますように」という願いが込められています。また、黒色には邪気を払う力があるとされ、古くから魔除けの意味も持つ食材です。艶やかに煮上げられた黒豆は、美しさと力強さを感じさせてくれます。
田作り:五穀豊穣を願う
小魚をごまめと呼び、かつては田畑の肥料として使われていたことから、「田作り」という名がつきました。「ごまめ」には「五万米」との当て字もあり、豊作を願う縁起物とされています。香ばしく甘辛い味付けは、おせちのなかでもアクセントになる一品です。
たたきごぼう:細く長く、家族の安泰を
ごぼうは地中深くに根を張ることから、「家の基盤がしっかりするように」「家族が安定して暮らせますように」との願いが込められています。 また、「叩くことで開く」ことから、運を開く「開運食」とも。細く長い姿にあやかって、「健康で長生きしますように」との意味も込められています。
かまぼこ:初日の出と紅白のめでたさ
紅白のかまぼこは、切り口が半月状になっており、「初日の出」を表すといわれています。赤は魔除け、白は清らかさを象徴する色。お正月らしい華やかな彩りとともに、縁起の良い意味を持った一品です。平安時代から続く歴史ある食材で、昔は貴族だけが口にできる高級品だったとも伝えられています。
栗きんとん:財運アップの黄金色
「金団(きんとん)」は黄金の布団という意味があり、栗を合わせた「栗きんとん」は、豊かさや金運を願う料理です。また、戦国時代には「勝ち栗」として縁起を担がれていたことから、勝負運アップの意味もあるのだとか。つややかな黄金色は、見るだけで気持ちが明るくなりますね。
伊達巻:知恵と教養を象徴
伊達巻は、もともと長崎で「カステラかまぼこ」と呼ばれていた料理が江戸に伝わり、伊達者(おしゃれで粋な人)に好まれたことから「伊達巻」と名付けられました。 巻物のような形状から、「学問が身につくように」「知識が増えますように」という願いが込められています。
昆布巻き:喜びを巻き込む
昆布は「よろこぶ」に通じる語呂合わせから、古くからお祝いごとの定番食材です。 さらに、「子生婦(こんぶ)」という当て字からは、子宝や繁栄を願う意味も感じられます。巻物に似た見た目からは、文化や知識が広がるようにという意味も。具材としてよく使われるニシンや鮭は、滋養にも優れています。
あわび:長寿と発展を願って
あわびは古来より貴重な食材として珍重され、特に「のしあわび」は神様へのお供え物として使われてきました。「長く伸ばす」という形から長寿や発展を象徴し、「おめでたいことが末長く続きますように」との願いが込められています。年の初めにふさわしい、特別感のある食材です。
海老:腰が曲がるまで長生きを
海老の特徴的な長いひげや曲がった腰から、「年を重ねても健康で過ごせますように」との願いが込められています。また、加熱することで赤く華やかな色になるため、お祝いの席にはぴったりの食材。おせちのなかでも、ひときわ存在感のある一品です。
ブリ:出世運の象徴
ブリは成長とともに呼び名が変わる「出世魚」の代表。関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と呼ばれています。この成長の過程が「出世していく様子」を表すとして、新年にふさわしい縁起物として親しまれています。旬を迎える冬は、脂がのって美味しさも格別です。
鯛:めでたさの象徴
「めでたい」に通じる語呂合わせで、お祝いの席に欠かせない魚が鯛です。美しい赤い体色や引き締まった身、上品な旨みから「魚の王様」とも呼ばれる存在。ほかの魚に比べて寿命が長いこともあり、長寿を願う意味も込められています。
紅白なます:平和と調和を表す
大根とにんじんを使った紅白なますは紅白の色合いが水引を表すとされ、平和や調和の願いが込められています。 酢の物としてさっぱりとした口当たりは、味のバランスを整える役割も。白い大根には「清らかな暮らし」、根菜としての特性から「家庭の基盤がしっかりと築かれますように」との願いも込められています。
こはだ:立身出世の願い
お寿司のイメージが強いこはだ。ブリと同じようにシンコ、こはだ、コノシロと成長するにしたがって呼び名が変わります。そのことから出世魚として、立身出世の願いが込められています。体表が柔らかくて光沢があり、美しいことから子どものような肌に例えて「子肌」と表記されたともいわれます。
酢だこ:紅白の彩りで福を呼ぶ
古来より赤色には魔除け効果があるとされていることと、たこが逃げる際に墨を吐く習性を「苦難を煙に巻く」としてタコが縁起物とされています。また「たこ=多幸」と語呂合わせできることから、幸せの願いを込めておせち料理に入れられます。
ちょろぎ:長寿を願う縁起物
ちょろぎはシソ科の食材です。「長老喜」「長老木」などと表記し、長寿を願う意味が込められています。江戸時代に中国から伝わった植物とされており、おせち料理が庶民に広がり、縁起物の食材がおせち料理の定番化してきた時期に合わせて広まった食材と考えられます。
筑前煮:願いを詰め込んだ煮物
福岡県北西部の郷土料理として知られる筑前煮。根菜や鶏肉、こんにゃくなど、栄養価の高い具材がたっぷり入った煮物です。 「ん」がつく食材(にんじん、れんこんなど)は、「運がつく」とされ、縁起がよいといわれています。れんこんは「先の見通しが良い」、里芋は「子宝繁栄」、ごぼうは「家の安定」と、具材それぞれにも願いが込められています。
煮しめ:縁起のよい食材を集めた一品
筑前煮が具材を炒めてから煮るのに対し、煮しめは炒めずにじっくりと煮るのが特徴です。「ん」が付くことで「運」が付くとされるにんじんやれんこん、子孫繁栄の願いが込められた里芋、長寿を願うごぼうなど、縁起のよい食材が一つにまとまり、お祝いの席にぴったりの一品です。飾り切りにすると、より華やかに。
くわい:めでたい縁起物
くわいは芽の形が鍬(くわ)に似ているところから「くわい芋」の名前が付いており、縮めて「くわい」と呼ばれるようになりました。味はゆり根に似てほろ苦く、茹でるとホクホクとした食感を楽しめます。身から大きな芽が勢いよく伸びた形状から「めでたい(芽出たい)」縁起物とされています。
おせち料理に込められた意味を知ることで、毎年の年始が少し特別なものに感じられるかもしれません。「どんな一年にしたいか」「家族にどんな幸せを届けたいか」。そんな気持ちを込めて、おせちを選ぶ時間もまた、新年を迎える楽しみのひとつです。今年はぜひ、意味を知りながら一品ずつ味わってみてくださいね。
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