フリーエディター/ライター
藤原 綾さん
フリーエディター/ライター。
出版社での女性誌編集部を経て、2007年にフリーの編集者として独立。
以後、『sweet』や『SPRiNG』などの女性誌、コレクションブランドからストリートブランドのムック本やカタログのビジュアル制作を手掛けるなど幅広いジャンルで活動中。手掛けた作品は数百冊に及ぶ。
90年代のギャルカルチャーを改めて振り返ってみる
令和になって、90年代がリバイバル! 当時のファッションや音楽を聞く若い人が増えて、時代が一周した感があります。
今や90年代中心の古着屋が生まれていますし、レコードやカセットテープ、写ルンですがもてはやされたのもここ数年の話。
そんな中、一度は絶滅したと思っていたギャルも大復活! そこで今回は、ギャル文化についてちょっとおさらいしてみましょー!

90年代後半の主役といえば、女子高生でした。
ルーズソックスが生まれたのは、1992~3年くらいだったと思います。最初は足首くらいの長さだったものがどんどんボリュームが出てきて、スカート丈も短くなり、髪は茶髪からメッシュやシルバーへと、どんどん派手になっていきました。
アムラーと呼ばれる安室奈美恵さんのファッションを真似する女の子たちが後を立たず、ヘソ出し+ミニスカ+厚底ブーツが主流に。
当時あった『東京ストリートニュース』という雑誌では、イケてる高校生たちをピックアップして紹介し、掲載されることが高校生のステータスになりました。さらに『Cawaii』『BLENDA』『egg』といったギャル誌が続々と創刊。それまでモデルや女優だけが登場していた誌面を、カリスマショップスタッフや読モと呼ばれる、いわゆる素人の女の子たちが飾るようになります。
ひと口にギャルと言っても、おじさん達にはわからないであろう細分化があり、中でもわかりやすかったのが、元々ハワイで育った女の子という意味を持つ、ロコガールと言われたサーフ系の女の子たちです。
当時はボディボードが大流行して、まだ高校生だった小池葵さんが一躍人気者に。サーファーのファッションを参考にする人が増え始め、サーフィンをやるわけでもないのにサーファーのような格好をしている男の子たちは「丘サー」と呼ばれました。
サーフ系の男女から絶大な支持を集めていたのが、雑誌の『Fine』。今ではアクティブなメンズファッション誌になりましたが、当時はテンション高めのイケメンサーファーやロコガール達が誌面を賑わせ、夏はサーフィン、冬はスノボと横ノリ系を押さえ、他のギャル誌とは異なる独自性を発揮していました。
そんなサーフ系のファッションの流行とともに、一気に台頭してきたのがハートのロゴが特徴の『ROXY』です。
ROXYのヒストリーは横乗りカルチャーと共に
日本では当時、ギャルブランドのひとつとして考えられていたROXYですが、元々はカリフォルニア生まれのビーチカルチャーに基づいたライフスタイルブランド。今では、ギャルブランドというより、サーフブランドという本来の認識で広がっています。
ROXYの歴史を紐解くと、生まれたのは1990年。カリフォルニアで巻き起こった爆発的なサーフブームが一旦落ち着き始めた頃のこと。
ハワイで男性用のボードショーツが女性サーファーに飛ぶように売れているという情報を得たクイックシルバーのボブ・マックナイトは、イベントディレクターのグレン・モンカータと、デザイナーであるソニア・カスパリアンと共に、ハワイのパイプマスターズへと足を運びました。
そこで目にしたのは、男性用のボードショーツのウエスト部分をロールダウンして、水着を見せながら颯爽と歩く女性サーファーの姿。しかも、ちょうどその年、ROXYのサーフチームの立役者、リサ・アンダーソンが世界タイトルを獲得したことから、ブランドが一気に花開いていきます。
その後、メジャーなファッションブランドへの成長を目指して、NYに進出。
かつてのファッションポートレートといえば、モデルががっつりポージングするものばかりでしたが、ROXYのビジュアルはあくまでも自然体。モデルがカメラを見ることなく、ポージングをするわけでもなく、サーフガールの楽しい日常切り取ったかのような構図で、当時、それは多くの人の目に新鮮に映りました。
このナチュラルな写真をもって、ブランドの世界観を表現するVIBE BOOKを制作し、サーフガールのライフスタイルを紹介したところ、あっという間に注目を集め、サーフガールたちがファッション界を席巻。これを機に一躍有名ブランドの仲間入りを果たしました。
1992年にはROXY SNOWをスタートし、スノーウェアやスノーボードも展開し始めて、夏だけでなく冬もROXYを楽しめるように。
1993年からは、クイックシルバーのロゴを向かい合わせに並べたハートマークを、ブランドのアイコンとして使用するようになりました。
日本でも、当初はサーフシーンで好まれて、そこからギャル文化に融合していったというわけです。
コラボレーションも続々!時代が一周したROXYの今
2000年代後半から、だんだんギャルがストリートに寄ってきて、原宿にもギャルブランドが進出。渋谷と原宿の境界が徐々に曖昧になっていきました。
今では、すっかりジャンルレスになってきたように感じます。
ギャルが押し上げてきた女の子のサーフシーンも、だんだん落ち着きを見せていき、ロンハーマンの登場によって、ライフスタイルのひとつとして認識されるようになっていきます。
カリフォルニアの自由でナチュラルな世界観が好まれて、ギャル文化の衰退と共に、ROXYがデビュー当初から大切にしてきたFUN AND ALIVE(楽しく、いきいきとした)、NATURALLY BEAUTIFUL(飾らない美しさを持ち)、DARING AND CONFIDENT(勇敢・大胆で自信に満ちあふれた)といった本来目指してきたサーフシーンが、日本にも広がっていきました。
現在ではサーフガールからはもちろん、ファッションブランドとしても愛され続けているROXY。最近は様々なブランドとのコラボレーションも盛んです。
ウールやテキスタイルブランドとして100年以上の伝統を誇るペンドルトンを始め、日本のブランドや写真家、イラストレーターなど多くのブランドや人々とタッグを組み、オリジナル以外のアイテムも積極的に発表しています。
特に、個人的に面白かったのが、ストリートブランドX-girlとのコラボレーション。
90年代は、ギャル文化とストリート文化は交わり合うことなく、完全に別ジャンルだったはずが、時代が一周して融合するというのはなかなか興味深いものでした。
クイックシルバーのお店や、ムラスポなどのスポーツ店での展開が目立ちましたが、2019年には満を辞してブランドストアROXY TOKYOをオープン。
サーフやスノーはもちろん、今はアスレジャーにも力を入れているのが伺えます。
さあ、もうすぐ夏本番!目指したいのはヘルシーガール
ではでは、実際にROXYの新作を見ていきましょう! ROXYが得意なふたつのシチュエーション別にご紹介します♪
【ビーチ&サーフ】

ROXYのお家芸! 爽やかさ満点、ヘルシーさ満点のアイテムがズラリ。
夏らしくサイケなタイダイ柄のロンTや、お腹をチラッと見せたいヤシの木プリントのショート丈Tシャツは、ビキニの上からさらっと着るのにぴったり!
ビキニのショーツはちょっと恥ずかしい……という人はリーフ柄のボードショーツを。バックポケットに水抜きの穴が付いているなど、さすがサーフブランド、デザインだけでなく機能性にも優れています。
小物類も豊富で、例えば海に欠かせないレジャーシート。カモフラ柄でも優しげな色合いで、存在感と使いやすさを両立。さらに、トレンド感のあるビニールバッグも発見! ライラックカラーとブラックのコードの組み合わせが印象的な一品です。
サンダル類も、ちょっぴり厚底でロゴを大胆に配置したハイビスカス柄のサンダルや、お馴染みのハートロゴを乗せたスタッズ付きのビーチサンダルなど、様々なデザインでご用意。
もちろん、どれもビーチに限らず普段使いにもおすすめのアイテムばかりです!
【ヨガ&トレーニング】

ステイホームが続き、さらにリモートワークが進んで、運動不足に悩んでいる人も多いはず。
ジム人口がどんどん増える中、ROXYからもウェア&グッズが続々と登場!
こちらは、見た目のスタイルアップにも期待できるモノトーンを基調にセレクトしてみました。
まず手に入れたいのは、定番のブラトップ+レギンス。サイドに切り替えを施すことで、着痩せ効果もあり! 体のラインが出ることで、トレーニングの効果が目に見えるので、やる気を高めるためにも多少大胆なデザインを選びたいところ。しかも、こちらのレギンスは吸水速乾に優れたクイックドライを採用。
夏のトレーニングはやっぱり短パン! という人は、ブラトップ+ショーツの組み合わせを。ロゴテープがアクセントになって、肌見せの割合は高くてもセクシーには見えず、ヘルシーなスタイルが楽しめます。
合わせる小物類も、スポーティを意識。サイドがメッシュになったキャップはレオパード柄で、モノトーンコーデにさりげないアクセントを加えてくれます。
バッグは機能性の高さが勝負どころ。保冷剤を入れられるポケットやボトルホルダー付きの便利なバックパックは、アウトドアでも活躍しそうです。
これから、まさにROXYの季節が到来。夏の日差しのもと、自然体でサーフファッションを楽しむカリフォルニアの女の子たちのように、健康的なスタイルを楽しんでみてはいかがでしょうか?