フィールドスコープは、スポッティングスコープとも呼ばれる地上用の望遠鏡です。主に地上での野鳥や動物などの観察に用いられますが、遠くの物を拡大して見ることができるため、天体観測でも使用されています。
代表的なメーカーには、「ニコン」や「コーワ」があります。天体望遠鏡と違い、三脚や接眼レンズがセットになっていない本体のみの販売が多く、代わりに倍率が調節できるズーム式の接眼レンズが搭載されているモデルが多いのが特徴です。
今回は、フィールドスコープの選び方やおすすめの商品をご紹介していきますので参考にしてみてください。
目次この記事でおすすめする商品
フィールドスコープの特徴
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冒頭でも書いたように、フィールドスコープは地上用の望遠鏡です。天体観測用の望遠鏡との違いは、肉眼で見た場合と同じ正立像が見えることです。天体望遠鏡では、上下左右が逆になった倒立像が見えるのが普通です。
天体を見る場合は、像が逆であっても大きな影響はありませんが、地上観察には不都合なのでプリズムを使って像を反転させています。
フィールドスコープの種類
フィールドスコープには、大きく分けて「直視型」と「傾斜型」の2種類があります。それぞれの特徴を把握して、用途に合ったものを選んでください。
真っ直ぐ覗く「直視型」
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観察対象に向ける「対物レンズ」と、覗く側にある「接眼レンズ」が直線上に並ぶ形になっているのが、「直視型」のフィールドスコープです。観察対象に真っ直ぐスコープを向ければよいので、初心者でも観察対象をフレームに入れやすいタイプです。
また、デジタル一眼レフカメラなどとフィールドスコープを組み合わせて写真撮影を行うことを「デジスコ(デジタルスコーピング)」といいます。デジスコの場合も、直視型の方が撮影対象をフレームに入れやすくなります。
斜め下を覗く「傾斜型」
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傾斜型は、対物レンズと接眼レンズに45°の角度が付けてあります。斜め下を覗くため、スコープの向きを上下に動かしても首の負担が軽く、観察がしやすいです。
また、身長が異なる観察者が複数人で除く場合、直視型は三脚の高さを変えなければなりませんが、傾斜型は上から覗けるので三脚の調節は不要です。家族で順番に覗くといった場合にとても便利です。
角度がついているため、上の方にスコープを向けた場合でも、窮屈な体勢にならずに観察できます。これは、天体観測で天頂に近い位置を見たい場合には、特に大きく影響します。フィールドスコープで天体観測をしたい場合は、傾斜型がおすすめです。
フィールドスコープの選び方
ここからは、フィールドスコープの選び方について見ていきます。最後に、観察対象別に簡単にまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
観察対象に合わせて選ぶ「倍率」
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フィールドスコープを購入する場合、高倍率のものが欲しくなります。しかし、倍率が高いということは、それだけ狭い範囲を拡大して見ているということなので、動物や野鳥のような動くものを観察する場合、対象が少し動いただけで視界から外れることになります。
このように高倍率のフィールドスコープには、使い慣れない人には扱いにくい面があります。特に初心者の方は高倍率にはあまりこだわらずに、観察対象に合った倍率のものを選んでください。
なお、フィールドスコープの倍率は、接眼レンズによって決まります。接眼レンズを交換できる製品なら、観察対象に合わせて倍率を変えることもできます。また、倍率を変えられるズーム式の接眼レンズもあります。こういった製品を選べば、倍率はある程度自由になるため、観察対象に合わせて調節することが可能です。
フィールドスコープの基本性能を決める「対物レンズ有効径」
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接眼レンズは交換可能な機種もあるのに対して、対物レンズは交換できません。対物レンズ有効径は、フィールドスコープの基本性能を決める重要な数値です。
基本的には、対物レンズ有効径が大きな製品の方が、明るく解像度も高い優秀な製品ということになります。もっとも、対物レンズが大きくなると、本体のサイズも大きく重くなるので、携帯性は損なわれます。バランスを考えて選んでください。
また、デジスコに使う場合、対物レンズが大きくなると被写体深度が浅くなり、ピントが合いにくくなります。初心者は50mmくらいまでを目安に製品を選ぶようにするといいでしょう。
屋外でも安心して使える「防水性能」
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フィールドスコープを選ぶときは防水性能もチェックしましょう。使用する環境にもよりますが、多少の水しぶきがかかっても大丈夫な製品なら、水辺の鳥の観察なども安心して行えますし、急な雨に慌てることもありません。
また、内部に窒素ガスが充填された本格的な防水機能を有する製品は、温度変化にも強く、暖かい場所から寒い場所に持っていった際にもレンズの内側がくもって見えなくなることがありません。アウトドアレジャーにフィールドスコープを持っていく人などは、特に重視したい項目です。
観察対象で選ぶ
これまで説明してきた「倍率」や「対物レンズ有効径」を観察対象別に簡単にまとめてみました。それぞれ適した倍率やレンズの大きさは違うため、選ぶ際の参考にしてみてください。
野鳥や動物の観察には
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バードウォッチングや動物観察には、対象物をとらえやすい「直視型」が向いています。倍率は、一般的には20〜40倍と言われており、倍率が高すぎると視野が狭くなってしまうため、鳥や動物を見逃してしまう可能性も。
対物レンズ有効径は、60mm前後の中口径クラスが明るさもあり、重さもほどほどなので、対象物が動くバードウォッチングや動物の観察におすすめです。また、屋外での観察の突然の雨も想定し、防水性のある商品がよいでしょう。
天体観測には
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天体観測には、長い間観察していても疲れにくい「傾斜型」がよいでしょう。約10〜30倍の倍率で、惑星や星団などの観測が可能です。
対物レンズ有効径は、80mm前後の大口径クラスが適してします。小さいと明るさが足りず星を見ることができません。80mm前後の口径のレンズで、倍率が約75倍まであがるフィールドスコープであれば、土星の輪や惑星の模様まで観測することができます。
フィールドスコープのおすすめ人気ランキング10選
ここからは、フィールドスコープのおすすめ商品をご紹介します。自分の用途にピッタリ合ったものを選んでください。
1位 MIZAR フィールドスコープ SP-1640
倍率:16~40倍
サイズ:全長305mm(フード収納時)
質量:540g
初心者でも扱いやすい16~40倍のズーム式
高倍率のフィールドスコープは魅力的ですが、慣れないうちは観察対象を視界に入れるのに苦労します。この製品は、最低は16倍からなので、初心者にも扱いやすいといえます。価格も低めなので、この点でも初心者向けです。
低価格の製品ですが、レンズフードがスライド式で斜光を防ぐことができたり、アイレリーフが長めで眼鏡をかけたままでも観察しやすかったりと、性能的には悪くありません。
2位 SVBONY SV28 スポッティングスコープ
倍率:25~75倍
サイズ:360×145×92mm
質量:911g
低価格でコスパに優れた製品
今回ご紹介している中では最も低価格の商品です。低価格ですが、25倍~75倍のズーム式で、様々な用途に使えます。対物レンズ有効径も70mmあるので、集光力が高く、天体観測などにも使える製品です。
注意点として、この製品には三脚が付属しますが、卓上タイプの小型のものです。本格的に観察を楽しむためには、別に三脚を準備する必要があります。
3位 ニコン フィールドスコープ PROSTAFF3
倍率:16~48倍
サイズ:長さ310×幅74mm
質量:620g
ズームレンズ一体型。三脚もセットですぐに使える
ニコンのフィールドスコープは人気がありますが、本格的な製品が多く、初心者には手を出しにくいものが多いのも事実です。その点、この製品は、接眼レンズ一体型で三脚もセットになっていて、購入して直ぐに使える初心者にも優しいセットです。
初心者にもおすすめの製品ですが、性能としては本格的なもので、レンズ・プリズムの全面に多層膜コーティング、本体内部には窒素ガスが封入された防水・防塵構造です。比較的手頃な価格で本格的なフィールドスコープが手に入ります。
4位 ニコン フィールドスコープ ED50
倍率:-
サイズ:全長209×高さ94×幅71mm
質量:455g
携帯性に優れたコンパクトなフィールドスコープ
対物レンズには高性能のEDレンズを使用していて、レンズ・プリズム・防塵ガラスの全ての面に多層膜コーティングがなされた本格的なフィールドスコープです。
1mの水深に5分間浸けても大丈夫な高い防水性能も備えています。この製品は本体のみでの販売で、接眼レンズと三脚は別に準備する必要があるので、この点には注意してください。
5位 コーワ スポッティングスコープ TSN-501
倍率:20~40倍
サイズ:全長241mm
質量:400g
最軽量のコンパクトモデルで携帯に便利
コーワ史上、最軽量を謳ったモデルが、この製品です。小型でかさばらないため、ハイキングをしながらのバードウォッチングに最適です。約2.5mでピントをあわせることができ、遠くのものだけではなく、足元の草花・昆虫観察にもおすすめです。
注意点として、アイピース(接眼レンズ)が固定式で交換ができませんので、ご注意ください。
6位 Vixen フィールドスコープ アロマ52-A
倍率:25倍
サイズ:OPEN時102×217×72mm、CLOSE時102×177×72mm
質量:460g
手持ちでも使える小型のフィールドスコープ
この製品には、手持ちで使うための「ハンドホールディングケース」が付属しています。とっさに取り出して直ぐに使えるのは魅力的です。ただ、倍率が25倍あり、この倍率のスコープを手持ちで使うと、手ブレの影響が大きく出ます。
接眼レンズが交換できるので、もっと低倍率のものを用意するか、三脚で使用することをおすすめします。本体の下部に接眼レンズを格納できる場所が設けてあるので、交換用のレンズを持ち運びしやすくなっています。
7位 ペンタックス スポッティングスコープ PF-65EDAⅡ
倍率:-
サイズ:サ270×120×85mm
質量:1070g
天体観測用のアイピースも使える設計
65mm口径のフィールドスコープです。先端のフード部分が可動式で、余分な光線をカットしてくれます。本体に付属するケースは、本体にかぶせたままでも観察可能な設計になっています。
アイピース(接眼レンズ)は別売りですが、65mmスコープ用に新設計されたsmcPENTAX XFシリーズに加えて、天体望遠鏡用のXWシリーズも使えます。用途に合わせて選べる充実したラインナップです。
8位 Bushnell フィールドスコープ トロフィー15-45×50
倍率:15~45倍
サイズ:長さ358mm
質量:850g
北米のメーカー、ブッシュネルの製品
北米の光学機器メーカー、ブッシュネルのフィールドスコープです。アウトドアが盛んな国で生まれた製品だけあって、防水性が高く、堅牢なつくりです。
ボディはラバー外装なので、滑りにくく、衝撃吸収性にも優れています。アルミフレームの丈夫なキャリングケースが付属するのも嬉しいポイントです。厳しい自然環境の中で使いたい人には、特におすすめの製品です。
9位 ニコン EDGフィールドスコープ 65
倍率:-
サイズ:313×120×88mm
質量:1560g
デジスコにも適したニコンのフィールドスコープ
デジカメで写真撮影をするデジスコにも適した製品です。デジスコに使用する際に重量バランスが調節しやすいように三脚用のネジ穴が3箇所に開いています。
レンズにはEDレンズ、プリズムにも位相差補正コートが施されていて、コントラストが高く明るい、自然な視界を実現しています。ニコンのフィールドスコープの中でも高価格帯のものですが、それだけの高い品質を誇る製品です。
10位 コーワ スポッティングスコープ TSN-884 PROMINAR
倍率:-
サイズ:全長329mm
質量:1520g
フローライト・クリスタルレンズを使った高級品
光学材料「フローライト・クリスタル(蛍石)」を採用したレンズが搭載された商品です。このレンズは、一般的な光学ガラスと比べて色収差(色にじみ)が極めて小さく、かなりクリアに見えるのが特長です。
レンズの素材として非常に優れたフローライト・クリスタルですが、単結晶であるが故に欠けやすく、加工が難しいという欠点があり、価格も高くなります。この製品も極めて高価なものですが、「コーワの情熱が注ぎ込まれた集大成モデル」というだけの感動を味わえる製品です。
MIZAR フィールドスコープ SP-1640 7,510円 SVBONY SV28 スポッティングスコープ 5,980円 ニコン フィールドスコープ PROSTA…… 27,257円 ニコン フィールドスコープ ED50 25,792円 コーワ スポッティングスコープ TS…… 27,380円 Vixen フィールドスコープ アロマ5…… 15,499円 ペンタックス スポッティングスコ…… 49,172円 Bushnell フィールドスコープ トロ…… 58,110円 ニコン EDGフィールドスコープ 65 144,020円 コーワ スポッティングスコープ TS…… 184,582円おすすめの商品一覧
製品 最安値 評価 リンク 3 3.9 3.74 4.4 4.05 4.5 4 2.9 4.85
まとめ
フィールドスコープの選び方とおすすめの商品をご紹介してきましたが、いかがでしたか?軽量でコンパクトなタイプから本格的なものまでたくさんの製品があるうえに、地上観察だけでなく天体観測もできるとなると、どの製品にしたらよいのか迷ってしまいますよね。
フィールドスコープは持ち運びに便利な製品も多く、手軽さの点で天体望遠鏡に勝るため、あえて天体観測用に選ぶ方も多くいます。この記事を参考に、ご自身の観察対象に合った製品を見つけてみてください。