シクネスゲージとは厚さ・隙間を計測するために使われる計測器具です。すきまゲージとも呼ばれ、リーフという薄い金属板で構成されています。測定物となる隙間に差し込むだけではなく、定盤のような平滑性が求められる台に反り・歪みがないかを調べることも可能です。
シクネスゲージは精度が命ですから、シンワ測定や新潟精機など大手計測器具メーカーや、JIS規格品を展開する永井ゲージ製作所の商品が人気です。この記事ではシクネスゲージの使い方から選び方、おすすめ商品を紹介します。
目次この記事でおすすめする商品
シクネスゲージと呼ばれる器具の種類と違い
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一口にシクネスゲージと言っても、ダイヤルシクネスゲージやフィラーゲージなど、構造・使い方が全く異なる工具がいくつも存在します。正しく使うために、それぞれの違いについて簡単に知っておきましょう。
デジタル・ダイヤルタイプのシクネスゲージは、測定物の厚みを測定するための工具です。アンビルと呼ばれる金床と測定子の間に物を挟み、ダイヤルまたはデジタル画面に表示された数字から厚さが分かります。
ガラスシクネスゲージは大きめな板状の計測器で、ガラスの厚みを計測するために使われます。ゲージ下部をガラスにあてたまま45度に傾け、ガラスに映った2つの像がどの程度ブレているかによって厚みが分かる仕組みです。
フィラーゲージはシクネスゲージ同様、細いすきまの測定に向いた造りをしています。フィラーゲージは厚さ1mm以下の金属板1枚からなるのに対し、シクネスゲージは0.03~1mmなど複数枚の金属板(リーフ)が扇のように束ねられています。使い方は同じですが、シクネスゲージは差し込むリーフを替えたり、組み合わせたりと幅広い測定ができます。
シクネスゲージの使い方
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使用する際は、シクネスゲージのスリーブについている止めネジを回して開き、リーフを展開させましょう。このリーフは1枚ごとに厚さが異なります。計測する隙間の幅がある程度分かっているなら近い厚さのものを、それでなければ一番薄いリーフから使うのが基本の使い方です。
調べたい隙間に薄いリーフから順に差し込んでいきます。リーフが差し込めなくなれば、その一つ手前のリーフが隙間の幅と同等です。たとえば隙間に0.4mmのリーフを差し込めて、0.5mmが入らなかったなら、隙間の幅は0.4mmということになります。
リーフ同士を組み合わせることで、より多彩な隙間の計測に使うことも可能です。たとえば、1mmと0.03mmを組み合わせて1.03mmのリーフとして使えるようになります。ただし、リーフは1枚ごとに微細な厚さのブレがあり、組み合わせるほどブレが大きくなって測定精度が下がってしまうことに注意してください。
シクネスゲージの選び方
すきまゲージとも呼称されるシクネスゲージは、どのような隙間に差し込むかによって選ぶべき製品が異なります。リーフの形状・長さ・枚数・精度から、作業に見合った製品を選んでいきましょう。
リーフの形状から選ぶ
リーフは一般的に幅が12.7mmあり、先端が丸くなっているとA型、尖るようにすぼまっているものはB型と呼ばれます。表面から見て奥まで見通せる隙間ならA型、障害物のある狭い隙間であればB型がおすすめです。
先端が丸く丈夫なA型
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リーフ幅がほぼ一定であり、先端だけが丸みを帯びている形状です。シクネスゲージは隙間に差し込んで使いますから、リーフをたびたび曲げていくことになります。A型は先端から根元まで幅にあまり変化がないため、使っても折れにくいメリットを持ちます。
幅のせまい隙間に入れやすいB型
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リーフの半ばから幅がせばまり、先端は6mm程度しかありません。そのためA型に比べると耐久面で劣るものの、横幅があまりない隙間にも差し込めるのが利点です。ボルト・ネジといった固定金具が障害になっている隙間にも差し込んで使うことができます。
リーフの長さから選ぶ
シクネスゲージはリーフが長いもの・短いものと、大きさに違いをつけて販売されています。
シクネスゲージのJIS規格ではリーフ長を75・100・150・200・300mmの5段階で定めているため、ここでは100mm以下のものを小型、150~300mmを大型として特徴をご紹介します。
100mm以下の小型
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小型のシクネスゲージは持ち運びやすく、収納性もよいため多数の製品展開がされています。奥行きのあまりない隙間に差し込んで測定する、奥まですきまが一定である必要がない、といったケースでは小型製品で問題ないでしょう。
150~300mmの大型
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大型のリーフ長を持つ製品は、隙間に差し込んで向こう側まで通せるかを見る、といった用途に使われます。小型に比べて重量がかさむものの、長さを活かした測定をできるのがメリットです。配線・部品が邪魔をして手の届かない場所にある隙間に差し込むこともできます。
リーフの枚数から選ぶ
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シクネスゲージのリーフ枚数が多いほど、測定できる範囲が広がります。1枚ずつ使うのはもちろん、2枚以上を組み合わせていくことも考えれば、枚数は多い方が利便性も高いでしょう。
ただしリーフ枚数の多さは、それだけ手入れに手間がかかることに繋がります。日常的にシクネスゲージを使用しない、測定物のすきま幅が決まっているというケースでは、必要な枚数に絞ることをおすすめします。
精度から選ぶ
すきまゲージはJIS B 7524:2008によって工業規格が定められています。一般品も正確にすきまを調べられるようになっていますが、厚さの寸法許容差がより厳密に決められているのはJIS規格品です。
工業製品の測定に適したJIS規格品
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シクネスゲージのJIS規格では、リーフの厚さごとに精度を定めています。たとえば厚さ0.01~0.06mmであれば寸法許容差は±0.003mm、0.06~0.10mmでは±0.004mmといった具合です。
内燃機関におけるピストンリングの合口隙間検査など、重要な工業製品では精密なシクネスゲージが欠かせません。リーフ一枚ごとにJISマークが刻まれていて、バラバラの状態になってもJIS規格品であると分かるようになっています。
高精度に仕上げているため、価格は高めです。一般品のシクネスゲージは高くても4,000円程度なのに対して、JIS規格品は1万円を超える製品が多く見られます。
DIYなど簡易作業に使いやすい一般品
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一般品と呼ばれるすきまゲージは、JIS規格品に比べると精度は落ちるものの、製品製造に関わらない測定用途であれば十分に使えます。
大手の測定工具メーカーは社内精度を設けていて、販売されているのは厚さごとの許容差に収まっている製品だけです。価格は安いのでバイク・自動車の整備用に持っておきたい方におすすめです。
シクネスゲージ(すきまゲージ)のおすすめ人気ランキング9選
シクネスゲージの人気商品を9点ご紹介します。おすすめなのはやはり信頼がおける大手メーカー品や、JIS規格に適合している製品です。シクネスゲージを頻繁に使わない方は安価な製品でもよいですが、測定を業務としているなら高精度の製品を持っておきましょう。
1位 シンワ測定 シックネスゲージ D 65mm 73782
リーフ枚数:25枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 1.00 mm
重量:62g
JIS規格:-
携帯性のよい小型すきまゲージ
測定器具メーカーとして名高いシンワ測定の製品です。リーフ枚数が25枚と多く、長さは65mmなのでポケットに収まるサイズになっています。JIS規格には適合していませんが、シンワ測定では社内基準をしっかり定めているため安心して使えるでしょう。
2位 シンワ測定 シックネスゲージ E 100mm 25枚組 73796
リーフ枚数:25枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 1.00 mm
重量:95g
JIS規格:-
長さ100mmのため用途が広い
同じ25枚組ですが、こちらは100mmと標準的な長さになっています。機材接合部のすきまなど、奥行きのある隙間にも使いやすい製品です。なお、素材は錆に弱い炭素工具鋼なので、錆止めは念入りにしてください。
3位 シンワ測定 シックネスゲージ B 100mm 9枚組 73780
リーフ枚数:9枚
リーフ形状:A型
厚み:0.04 ~ 0.30 mm
重量:45g
JIS規格:-
用途は狭まるもののコストパフォーマンスは良好
枚数を少なくして、その分だけ価格を安くしているのが特徴です。単体使用だけでなく、リーフの組み合わせでの測定パターンも少なくなりましたが、測定物が決まっている方には問題ないでしょう。
4位 新潟精機 シクネスゲージ 65M
リーフ枚数:25枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 1.00 mm
重量:70g
JIS規格:-
スリーブから外して1枚ずつ使用できる
新潟精機は刃物の町である新潟県三条市に本社を置く測定工具メーカーです。社内精度を定めているため精密性は確かで、組み合わせることで最大7.62mmまで測定ができます。
止め金を外して1枚ずつ使えるようになっているのも、この製品の特徴です。リーフの組み合わせがしやすく、検査作業をスムーズにこなせます。
5位 シックネスゲージ ステンレス製 THI100-1
リーフ枚数:17枚
リーフ形状:B型
厚み:0.02 ~ 1.00 mm
重量:48g
JIS規格:-
0.02mmから測定できるB型すきまゲージ
錆に強いステンレスを素材に使用したシクネスゲージです。最初は防錆用の油が塗られているので、使用前によく拭き取っておきましょう。厚みの下限が0.02mmと他製品より薄いのは魅力的ですが、海外製品のため高い精度を求める場合は少し不安が残ります。
6位 トラスコ シクネスゲージ T100MY
リーフ枚数:19枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 1.00 mm
重量:81g
JIS規格:-
耐久性の高さが魅力の製品
焼き入れ処理された炭素工具鋼を素材として使用しています。社内精度に則って製造されているため、一般作業であれば使用に不自由はありません。
7位 Garage.com 25pcシクネスゲージ WHSDJ006
リーフ枚数:25枚
リーフ形状:A型
厚み:0.04 ~ 1.00 mm
厚み:0.04 ~ 1.00 mm
JIS規格:ー
コストパフォーマンスと精度を両立
25枚のリーフを持ちながら、非常に安い価格で人気を集めています。海外メーカーの製品ですが、おおよそ正確な厚みとのことなので、問題なく使えるでしょう。最初は独特な臭いの機械油がたっぷり塗られているため、使用前に拭き取りが必要です。
8位 DIA永井ゲージ製作所 JIS規格すきまゲージ 75A13
リーフ枚数:13枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 3.00 mm
重量:74g
JIS規格:適合
厚さ2・3mmのリーフを持つJIS適合品
永井ゲージ製作所は、すきまゲージの製造を専門としているメーカーです。特徴はなんといっても日本工業規格の表示認定がされていることでしょう。この商品は値段がかなり高いですが、JISの厳密な規格に適合しています。
一般的なシクネスゲージにはない、厚さ2mmと3mmのリーフを持っています。測定範囲が広がるのはもちろん、2~4mmまでのすきまをより少ないリーフで測定することが可能です。
9位 DIA 永井ゲージ製作所 JIS規格すきまゲージ 300A10
リーフ枚数:10枚
リーフ形状:A型
厚み:0.03 ~ 0.30 mm
重量:104g
JIS規格:適合
JIS規格で最大長である300mm
こちらもJIS適合品のすきまゲージで、長さは最大の300mmです。小さな隙間にも使えますが、本領を発揮するのは大型シリンダーの間隔測定でしょう。測定作業に従事する方は1本持っておくと重宝します。
シンワ測定 シックネスゲージ D 65…… 1,334円 シンワ測定 シックネスゲージ E 10…… 1,399円 シンワ測定 シックネスゲージ B 10…… 390円 新潟精機 シクネスゲージ 65M 1,614円 シックネスゲージ ステンレス製 TH…… 999円 トラスコ シクネスゲージ T100MY 1,892円 Garage.com 25pcシクネスゲージ WH…… 1,622円 DIA永井ゲージ製作所 JIS規格すき…… 14,412円 DIA 永井ゲージ製作所 JIS規格すき…… 25,820円おすすめの商品一覧
製品 最安値 評価 リンク
4.25
4.22
4.3
4.5
3.9
使用の際の注意点
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シクネスゲージはすきまを精密に測定できるように作成されていますが、間違った使い方や管理を怠ると、測定結果に誤りが生じてしまいます。使用前の確認・使用後の手入れとともに、正しい使い方を心がけましょう。
使う前にはリーフ表面に錆・汚れ・傷がないかを確認してください。これらはいずれもリーフの厚みを変えてしまい、正確な測定ができない原因となります。特に錆や傷は修復が難しいため買い替えしなくてはいけません。なお、リーフ表面に油が塗られている場合は、油をふき取ってから使用してください。
隙間へ差し込む際は、無理に押し込まないようにしましょう。シクネスゲージの削れ・折れが起こるだけでなく、測定対象の破損にも繋がります。とくに測定物がゴムや樹脂のように柔らかい素材を使用している場合、無理に押し込んでも正確な隙間測定ができているとは言えません。
使用後はリーフ表面についている指紋や粉塵をよく拭き取ってください。指紋がつかないように使用中は手袋を着用しておくのもよいでしょう。リーフ表面をきれいにしたら、防錆油を塗布してスリーブに収納して保管します。
まとめ
シクネスゲージは、隙間に差し込んだリーフの厚みから測定を行います。用途からリーフの形状・長さ・枚数を見ていくのが基本の選び方ですが、測定工具なので精度も重視しておきたいところです。
JIS規格品は一般品に比べて価格が非常に高価なものの、国家標準に裏打ちされた精密性を持っています。業務として測定検査に携わっているのなら、信頼性の高いシクネスゲージは仕事の助けとなってくれますよ。