抑圧されたモダニティ 清末小説新論/王徳威/神谷まり子/上原かおり
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【内容紹介】
従来、中国文学史において「近代(モダン)」の起点は魯迅を代表とする、伝統批判と文学革命を旗印に西洋写実主義を旨とした「五四」新文学に置かれてきた。一方、清末小説(本書では19世紀半ばから1911年までの世紀末文学を指す)は、創作だけでも七千種以上が出版されながらも、梁啓超らの提唱した「新小説」を除いて文学史においてはほとんど顧みられることのない、「排除/抑圧」されたジャンルであった。本書ではこの時期の小説を、西洋との出会いのなかで伝統/モダニティが互いに拮抗し、複雑かつ豊かな「多層性のモダニティ」を見せた特異なジャンルとして評価する。具体的には、花柳小説、?義公案小説(武侠・裁判もの)、暴露小説(社会風刺もの)、科学幻想小説(サイエンス・ファンタジー)および二〇世紀末の中国語小説を再読し、バフチン、フーコー、ギアーツらの諸理論を用いてその「抑圧されたモダニティ」を論じることで、中国のポストモダニティについて再考を行うものである。著者は現代文学理論を用いながら独自の視点で中国語圏文学を読み解く、今日を代表する研究者の一人であり、その代表作という意味でも本書は重要な著作であると言える。また、上述のように清末小説についての研究は国内外でも少なく、本書は日本においてほとんど専著のない分野の研究書であるため、中国文学研究または東アジアのモダニズム研究の分野において必読書であると思われる。
従来、中国文学史において「近代(モダン)」の起点は魯迅を代表とする、伝統批判と文学革命を旗印に西洋写実主義を旨とした「五四」新文学に置かれてきた。一方、清末小説(本書では19世紀半ばから1911年までの世紀末文学を指す)は、創作だけでも七千種以上が出版されながらも、梁啓超らの提唱した「新小説」を除いて文学史においてはほとんど顧みられることのない、「排除/抑圧」されたジャンルであった。本書ではこの時期の小説を、西洋との出会いのなかで伝統/モダニティが互いに拮抗し、複雑かつ豊かな「多層性のモダニティ」を見せた特異なジャンルとして評価する。具体的には、花柳小説、?義公案小説(武侠・裁判もの)、暴露小説(社会風刺もの)、科学幻想小説(サイエンス・ファンタジー)および二〇世紀末の中国語小説を再読し、バフチン、フーコー、ギアーツらの諸理論を用いてその「抑圧されたモダニティ」を論じることで、中国のポストモダニティについて再考を行うものである。著者は現代文学理論を用いながら独自の視点で中国語圏文学を読み解く、今日を代表する研究者の一人であり、その代表作という意味でも本書は重要な著作であると言える。また、上述のように清末小説についての研究は国内外でも少なく、本書は日本においてほとんど専著のない分野の研究書であるため、中国文学研究または東アジアのモダニズム研究の分野において必読書であると思われる。
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